伝説の地への旅…憧れの地への旅行記

伝説の眠る町・ティンタジェル(2日目)

伝説の街、ティンタジェル。その地形や風土は伝説をよりリアルに感じさせる。交通機関も少なく、訪れるには多少の努力が必要。
※ここでは、他の土地と違って日記形式でお送りします。私の浮かれぶりをとくとご覧下さい。

INTRODUCTION

2日目。朝から雨こそ降ってはいなかったが、どんよりとした天気。いいじゃあないか、ティンタジェルらしくて。
我々はペンドラゴン・ハウスで朝食(イングリッシュ・ブレックファスト)をとり(『今日は沢山歩くことになるだろうから、しっかり食べてね』と言われた…)、女主人にをに別れを告げてティンタジェルの町中へと出発した。

King Arthur's Great Hall

9:50ごろ、金持ちが趣味で造ってしまったという『King Arthur's Great Hall』の前に着く。開館が10:00なのでぶらぶらと暇をつぶしていたらティンタジェルの観光案内所を発見。
ここはとてもキレイで、アーサー王に関する資料なども置いてありなかなか便利だ。B&Bに関する情報ももちろんあるので、ここで宿を探すのも良いかもしれない。天気予報もホワイトボードに掲示してある。
『今日の天気 くもり、風が強い、時々雨、時々晴れ。』
…なんじゃそりゃ!!(笑)。これが英国ってやつですか。(ちなみに、ここのトイレは流れが良くてGOODです。タダだし。)

KingArthur's Great Hall外観 KingArthur's Great Hallの入り口
KingArthur's Great Hall外観と入り口上

10:00もまわったので我々は酔狂の結晶、『KingArthur's Great Hall』へと再び戻った。入り口にはアーサーが石から剣を引き抜く場面が像として掲げられている。中に入ると、いきなり土産物屋になっていた。真中に扉が1つあり、どうやらその中が『Great Hall』な様子。

レジにいたおじさんに入場料をはらい、奥へと進む。あれ?まっくら?何やら周りには油絵などが掛けられている。するとおじさんは懐中電灯で奥にあるイスを照らして、そこに座れという。…あのう、どう見てもそこは玉座なんですけど…まあ、いいか。
おじさんが言うには、今から10分ほどのショーがあると言う。それが終わったらさらに奥にある『Great Hall』に行けるとのこと。客は私とダンナの2人だけ。


暗い…Great Hall?の内部

早速ショーが始まる。ごにょごにょとした赤いレーザー光(ダンナは赤い毛糸と表現したι)が正面に映し出され、ナレーションが流れ始める。
『私はマーリン…』
赤いごにょごにょはマーリンだったのか!内容はすでにおなじみの話を壁にある油絵にスポットを当てながら、マーリンがナレーションしていくというもの。

ショーが終わるとやっと『King Arthur's Great Hall』に入ることができた。Great Hallは、Hall部分と回廊(?)の構成になっていて回廊の窓にはぐるりと円卓の騎士たちの紋章がステンドグラスで描かれている。どうやらこのGreat Hall独自の紋章らしい。
Hallの中は広く、ここもステンドグラスによって飾られている。

石の円卓と玉座上のステンドグラス
石の円卓と玉座上のステンドグラス

ステンドグラスはどれも素晴らしく、一見の価値あり。アーサー王の話の各場面が描かれている。石造りの円卓と玉座、木の円卓と玉座とそれぞれ1つずつあり、木の方はそれぞれの騎士の名前が刻まれ中央部分には何故かラミネートされた盾形の騎士の紋章がお粗末に貼り付けられていた。おい、ここまでやるんだったら最後まで手を抜くなよう(笑)!!玉座などの写真を撮ってHallを出る。

木の円卓 石の円卓と玉座
左・木の円卓 右・石の円卓と玉座

ラミネートの紋章 玉座座り放題
左・ラミネートの紋章。手抜きはいかんですよ。 右・玉座座り放題

ティンタジェル城

土産物を適当に購入し、『KingArthur's Great Hall』を後にして、本日のメイン、ティンタジェル城へと向かう。
はっきり言って、ティンタジェル城に向かうにはかなりの体力を要求される。黒い、ごつごつとした正に断崖絶壁で、とにかくアップ・ダウンが激しいのだ。間違ってもサンダルやヒールのある靴で来ちゃあいけない。加えて、高所が苦手な人も覚悟をしておいた方が良いだろう。とにかく、『難所』という言葉が良く似合う地形なのだ。
もともと体力の無い私は、息を切らして汗まみれになりながら考えた。
「ウーゼル、アンタこんなことしてまで×××したかったんかい!!!!!」
まあ、マーリンがどうにかしてくれたのかも知れないけどね。っつうか、今すぐ私にもどうにかしてくれ。

ティンタジェル城の入り口。怖いし、疲れるし。
ティンタジェル城の入り口。怖いし、疲れるし。

それにしても恐るべきは先人たち。こんな場所に城を建て、住居を造り、実際に暮らしていたと言うのだから恐れ入る。
ティンタジェル城の中にはチャペルの跡や、井戸、庭の跡などが(私の感覚として)生々しく残っている。それらの遺跡には全て番号が付けられていて、イングリッシュ・ヘリテイジのガイドブックと対応するようになっている。

ティンタジェル城の城門。有名なところ。 なにやら建物跡
左・ティンタジェル城の城門。有名なところ。  右・なにやら建物跡。

で、ここへきてハタと気が付いた。アーサー王に関する場所が全く示されていないではないか!もちろん、全て想像の産物だって事は百も承知だが、あれだけ町中にアーサー王に関する土産物などがあふれていて、少しぐらい案内板があったっていいじゃないか〜。
しかたなく、別のガイドに載っていた『アーサー王の足跡』『アーサー王の椅子』『アーサー王のベッド』を自分の足で探すことにした。

ぐるぐるとティンタジェル城内を歩き回り、やがて導かれるように(笑)『アーサー王の足跡』を発見!!…デカい。しかも片足だけ(写真で分かっていたけど)。でも、本当に周りには何の案内も無い。岩の表面に普通(?)に穴が空いているだけなのだ。
続いてすぐ近くにあるはずの『アーサーの椅子』を探す。しかし、分からない。これだろうという所を写真に収めて退散。そして『アーサー王のベッド』。これまた分からない。地図上では多分ここら辺だろうと思われる場所を写してこれまた退散。しかし、また1つのクエストを達成したようで、かなり晴れ晴れとした気分になっていた。

アーサーの足跡。左は私の足(22cm) アーサーのベッド…?
左・アーサーの足跡。左は私の足(22cm) 右・アーサーのベッド…?

我々はティンタジェル城から出て、『マーリンの洞窟』を探すことにした。ティンタジェル城の入り口でおばさんに聞いてみる。
「マーリンの洞窟を探しているんですけど…」
「下に見えるのがそうですよ」
なんと!早くもクエスト達成!ラッキー!!後ろを振り向けばぽっかりと口を空けた『マーリンの洞窟』がそこにある。本当は下まで降りてみたかったが、落石のせいで道が無くなっていたのか、満潮で道が閉ざされていたのか、とにかくそれは無理だった(後に満潮のせいと判明。くそう。)。残念。
その時、天からの声が!!(ウソ)
「まだクエストは終わっていないのじゃよ〜」

マーリンの洞窟
マーリンの洞窟

何気に見たガイドブックに『アーサー王のカップ&ソーサー』という場所と、真の『アーサー王の椅子』を発見!なんと先程写真に収めた『アーサー王の椅子』と思われたものはニセモノだったのだ。ちいい、謀られた!(?)
我々は再びティンタジェル城内に入ることとなった。とりあえず、真の『アーサー王の椅子』を探す。すると、実は先程撮った写真のとなりの岩がそうだった(マヌケ)。ガイドブックの地図は当てにならないことを知る。

そして、真の『アーサー王の椅子』に近づいた時、ダンナが叫んだ。
「椅子の足元にカップ&ソーサーがある!!」
おおう!まさにそれは我々が探していたカップ&ソーサー!!周りにある無数の落書きに少々腹を立てたが、見つけた達成感の方がそれに勝っていた。

アーサー王の椅子。足元にカップ&ソーサーがある カップ&ソーサー
左・アーサー王の椅子。足元にカップ&ソーサーがある 右・カップ&ソーサー

見上げれば、空は本日一番の快晴。ついにクエストを達成したのであった。

アーサーの椅子からの眺め。 怖くて座れない。落ちたら即アヴァロン行き。
アーサーの椅子からの眺め。 怖くて座れない。落ちたら即アヴァロン行き。

スローター・ブリッジ

我々は今度こそティンタジェル城を後にした。時間も13:30を回っていたので昼食を取り、次なる場所へ。
比較的ここから近いと思われるスローター・ブリッジへと足を向けることにした。しかし、行き方が分からない。
観光案内所へ行くと、そこの太ったおじさんが我々のためにタクシーを呼んでくれた。

走ること20分足らず。
「ここがスローター・ブリッジだよ」と運ちゃん。
???何の変哲もない石の橋。よく見る写真では川の方から撮っているせいか、小さな、まるで森の中にあるような橋だと勝手に思っていた。しかし、現実は普通に車も走る橋であった。これじゃあアーサー&モードレッドごっこもできないなあ(するな!!)。
とりあえず、タクシーから降りて写真を撮る。川の側から写真を撮るにはどうにも難しいように思われた。

これがスローター・ブリッジだよ
これがスローター・ブリッジだよ

アーサリアン・センター

タクシーに戻ると、タクシーの運ちゃんが教えてくれた。
「よくは知らないが、この近くにアーサー王の石という物があるらしいよ。」
何!!!そんな物が!大喜びしてふと周りを見渡すと『この近くにアーサー王の史跡があるよ〜ん』という看板が!看板にしたがって行き着いた先はなんと『アーサリアン・センター』。以前にみんさんからリーフレットを頂いてはいたが、こんな所で(って他にあるとも思えないけど)出会うことになろうとは。

タクシーの運ちゃんに「10分くらいで戻ってくるから待っててね♪」(←?)と告げてアーサリアン・センターの敷地に入る…と、『アーサー王の石・バトルフィールド、200M先』の看板が!バトルフィールド(最後の古戦場)までここにあるなんて!ラッキー!…っつうか、200M先!?いや〜ん、10分じゃ戻ってこられないじゃない!!何て言ってる暇も無く、丘を走る、走る!周りは自然たっぷりのいかにも英国といった風景。

しかし、どこまで走ればたどり着くんじゃい!途中、ダンナが私に向かって「下を見ちゃ駄目だ〜!!」と言う。そう言われるとついつい見てしまうのが人間ってモノ。見ると、所々に毛虫がいる…!!。しかし、そんな事で躊躇している場合ではない。アーサー王が目の前にぶら下がった私は最強だ!毛虫たちを一瞥し、なおも爆走。

走り続けて丘を越えきるとなんと公道に出てしまった。ここまで車で来られるじゃん!!
公道を渡り、なおも走りつづけるとやがて林の中に一軒の家が見えてきた。
『アーサリアン・センター』。
…こっちが本物の(?)アーサーリアン・センター!?じゃあ、さっきの所は…??
どうやら、このアーサリアン・センターに入り、入場料を払わないとアーサー王の石とバトルフィールドを見ることはできないらしい。入場料を払って中に入ると子供用の木でできた小さな城(というか砦?)がある。ちっ…時間があったら遊ぶのに!

案内板を見ると『アーサー王の石 150M先』。きえええ!まだ走るんかい!
木の柵のある小川(カムル川)沿いの小道を走っていくと、道の3、4M下、川のほとりににアーサー王の石と呼ばれる苔むした平べったい石がやっと見えた。本当は『マルガヌスの息子、ラティヌスの墓』らしいのだが、それを言っちゃあ野暮ってもんよ。下まで降りてみたかったけど、残念ながらそれらしい道も無く、また、我々には時間も無かった。

アーサー王の石
アーサー王の石

もと来た道を少しだけ戻り、バトルフィールドへ。
思ったよりバトル・フィールドは小さく、まるで木々に囲まれた公園の芝生のようだった。でも、思いを馳せるには充分な場所であった。目的を達成するとタクシーまで戻り、運ちゃんに「待たせてごめんねえ」とあやまった。
それでも多分、最初に走り始めてから戻ってくるまで20分足らずだったと思う。よくやった、私。

バトルフィールド
バトルフィールド

キャメロット・ホテル

夕方も近くなり、我々は今日の宿、キャメロット・ホテルへと向かった。途中、大量のカモメが滑空している下を糞の恐怖におびえながら、玄関にたどり着く。中に入ると、受付には昨日の女性が座っていた。チェックインすると、女性がホテル内を案内してくれた。
ロビーにはウィンチェスターの円卓を模した木製の大きな円卓が掲げられていた。後に写真で見たときは、この円卓はロビーに実際のテーブルとして据えられていたようだ。もしかしたら、今でも時々壁から降ろしているのかも知れない。
このホテルは、19世紀に建てられたヴィクトリア調の建物だ。古いエレベーターや、階段などの雰囲気がとても良い。少しがらんとしているのが気にはなったが。…本当に、他の客はいるのか???

キャメロット・ホテルの円卓 ホテルの室内。左側奥にユニットシャワーが…
キャメロット・ホテルの円卓 ホテルの室内。左側奥にユニットシャワーが…

キーを渡され、我々が宿泊する部屋に通された。中もヴィクトリア調の壁紙だったり、少し古めの雰囲気が良い感じ。大きな窓からは海が見える。しかし、何故か部屋の隅にあきらかに後付けされたユニット・シャワー(注・ユニットバスではない)が据えられていて何ともいえない違和感が漂う(笑)。

一息つくと、我々は食事のために外へ出ることにした。…ところが、どうやっても鍵が閉まらない。しょうがないので、ダンナには鍵と格闘してもらうことにして、さっきの女性に鍵の閉め方を教えてもらいに行くことにした。が、女性の姿はどこにも見当たらない。バー(名前は後ほどに…)にオヤジさんがいたので訳を話すと、彼は笑いながらこう言った。
「彼女は帰ったよ、ハハハ。」
なんですとう〜!?しょうがないので彼に鍵の閉め方を教授してもらうことにした。
「あのう、鍵の閉め方が分からないんですけど…」
すると、彼は手招きして、ある扉の前に立った。
「ほら、この鍵穴の横にあるボタンを押すだろう?すると鍵が回せるようになるのさ、ハハハ。」
私はお礼を言って、早速そのことをダンナに伝えて鍵閉めを再チャレンジ。しかし、オヤジさんが言っていたそのボタンが硬くて押すことができない!私は再びオヤジさんのところへ行ってこう言った。
「あのう、ボタンが押せないんですが…」
するとオヤジさんはまたもや扉の前に立ってこう言った。
「このボタンは、下にスライドさせないと押せないのさ、ハハハ。」
…さ、最初から言ってくれ〜(笑)。
とにもかくにも無事に鍵を閉めることができ、ようやく外に食事を採りに行くことができましたとさ。ハハハ。

我々は、食事を済ませると、足早にキャメロット・ホテルへと戻ってきた。
何故なら、このホテルにはバーがあるので、そこでお酒を飲もう、ということになっていたからだ。
そのバーの名前もずばり、 『Excali-Bar』。

エクスカリ・バーの入り口
エクスカリ・バーの入り口

こっちの人はベタな洒落が好きなのかねえ。この様子だと、日本のしょーもないシャレ(布団がふっとんだ…とかι)で大爆笑しそうだな。

エクスカリ・バーの中は、壁に剣が飾ってあったり、アーサー王の絵画があったり(グレートホールにあった絵と同じだった…何故?)、部屋の区切りに落とし格子のような装飾があったりして、かなりいい雰囲気。バーの部分もシールドの形をしたライトがきらきらしていてとても可愛い。

エクスカリ・バーの中 エクスカリ・バーへ。手前にスヌーカーの台が見える
左・エクスカリ・バーの中  右・エクスカリ・バーへ。手前にスヌーカーの台が見える。

しかし、それにしても人がいない。我々夫婦と、バーのオヤジさん(「鍵は大丈夫だったかい?」と聞かれた・笑)と常連らしい熟年夫婦、そしてカップル1組。まるで聖杯探求に出かけてしまった騎士たちを待つアーサーのような気分。それはそれで雰囲気を楽しみつつ、エールを頂いてその日は床についた。

バーカウンターの中。キラキラしたシールド型のライトが可愛い。よく見ると騎士の置物やレジの上にドラゴンが…
バーカウンターの中。キラキラしたシールド型のライトが可愛い。よく見ると騎士の置物やレジの上にドラゴンが…

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■アクセス
【ボドミン経由】
・バス(コーチ)
ロンドンのヴィクトリア・コーチ駅よりボドミン行きに乗車(約6時間)。タクシーまたはバスに乗り換え(約40分)。
コーチ、ローカルバス共に1日に2〜3本(ローカルは平日のみ)。
・ 鉄道
ロンドンのパディントン駅よりペンザンス行きに乗車。ボドミン・パークウェイ駅で下車(約4時間半・1時間に1本程度)。タクシー利用でティンタジェルへ直行(約40分)。もしくは駅前発のバスでウェイドブリッジ下車(約40分・1時間に1本)、ティンタジェル行きに乗り換え・終点下車(約1時間・2時間に1本)。
【エクセター経由】
エクセターからはティンタジェル行きのローカルバスに乗り換え(約2時間)。ローカルバスは1日に4本。ただし日曜日は運行していないので注意が必要。
・バス(コーチ)
ロンドンのヴィクトリア・コーチ駅よりエクセター行きに乗車(約4時間半)。エクセター行きのバスは1時間半〜2時間おきに発車。
・鉄道
ロンドンのパディントン駅よりペンザンス行きに乗車。エクセター駅で下車(約2時間半)。
1時間に1本程度(ハイシーズンはもう少し多いかも)
ティンタジェル周辺の地図


■関連HP
TINTAGEL - KING ARTHUR COUNTRY
ティンタジェルの情報サイト。宿泊情報や観光地の情報なども充実していて便利。写真が多いのでビジュアル的にも充分楽しめる。
CAMELOT CASTLE HOTEL
アーサーリアン御用達?のキャメロットホテルのオフィシャルサイト。
King Arthur's Arms
レストラン・パブを併設したB&B。登場人物の名前を冠したメニューがある。
King Arthur's Great Hall
金持ちが趣味で造ってしまったというアーサー王の広間のサイト。
アーサリアン・センター
敷地内に最後の古戦場・アーサーの石がある、アーサー王に関する情報のある施設のサイト。